「結論から言って!」
ビジネスの場でよく言われることである。
というか、私が上司からよく言われることである。
報告や意見がある時に、特に言いづらいことを伝えるときに、私はよく、その前置きや状況などの前提条件を話そうとするが、それが長くなり、結果「結論から言って!」と言われてしまう。
言いづらい内容や、言いづらい相手への報告ほど、いきなり結論をいうと「何の話だ?何を言い出しているんだ?」と、そこから説教が始まるのではないかと思い、つい前置きを話してしまう。
皆さんは、上司への報告や言いづらい報告をする際に、どのように気を付けながら話を切り出しているのだろうか。
しかしながら、私も報告を受けるときは、結論が気になってしまう。
報告を受けた時に自分が思っていることを踏まえて、報告や意見を言うときはどのように言えばよいのか、必ず結論を最初に言わないといけないのかについて、考えてみたいと思う。
まず結論から言うと、『相手を聞く気にさせて、相手と会話するように話すこと』が大事だと考えている。
、、、と、さっそく「結論から言うと」と結論を言ってしまった。
しかし、これはあえてこのように書いている。
読んでいる皆さんに、この結論として言ったことが正しいかどうか考えながら、これ以降の話を聞いてもらいたいからである。
ここで重要なことは、「結論を言うことではなく」、、、「相手を聞く気にさせること」と考えている。
つまり、結論を言うにあたって、どのように結論を伝えるのかと言うことが大事なのではないかと思う。
例えば、忙しい時に、報告された場合、まずは
「○○さん、お忙しいところ恐れ入りますが、報告のお時間を少しいただけますでしょうか。」
と伺いを立てるだろう。
極端かもしれないが、「結論から言う」に悩むとは、ここから丁寧に考えなければならないと考える。
まさに針の穴に糸を通すがごとく、いや、地雷地帯に今から足を踏み入れるがごとく、嫌な報告を上司にするというのはこういう状況なのである。
この例は分かりやすいと思うのでさらに進めていくが、忙しいそうにしている相手に、
「昨日、△△さんに納品をしまして、その時は了承を得たのですが、先ほどお電話があって、よくよく確認したら納品物に不備が見つかったようです。私もその時に気づけばよかったのですが、お互い急いでまして確認ができておりませんでした。申し訳ございません。お客様はとてもお怒りになられていますので、早急に対応したいと思います。」
と、文字を打つのも長いと思うこの話をいきなり聞かされたら、おそらく「不備が見つかったようです。」あたりで、「で、お客様は怒っているのか?対応できているのか?それを先に言ってくれ!」と、報告を遮って言ってくるだろう。
そもそも、上司としては心の準備ができていない状態なのに、いきなりクレームらしき報告をされたらパニックである。とにかく状況判断をしたいと思い、そのための情報から聞きたいと思ってしまう。
例えば以下の流れはどうであろうか。
私「○○さん、お忙しいところ恐れ入りますが、報告のお時間を少しいただけますでしょうか。」
上司「なんだ?今忙しいから後にしてくれないか。」
私「わかりました。△△様の納品についてクレームをいただきましたので、後ほど報告のお時間をください。」
上司(△△は重要な顧客だな。そこでクレーム?それは先に聞かなければ・・・)
上司「クレームなら、今聞こう。お客様は怒っているのか。対応はできているのか。」
私「ありがとうございます。お客様はとても怒っております。対応はしているのですが、私では難しく、○○さんに対応案を相談したいです。」
上司(そうか怒っているのか。収めるために相談に乗ったほうがよさそうだ。)
上司「わかった。クレームとなった経緯を教えてくれ。」
私「はい。経緯はかくかくしかじかで・・・。」
上司(なるほど。確認不足に問題がありそうだ。であるなら~~~した方がよさそうだ。)
上司「わかった。まずは~~~で対応していこう。原因は君の確認不足にもあると思うから反省し再発しないように気を付けてほしい。」
私「ありがとうございます。申し訳ございません。以後気を付けます。」
・・・いかがだろうか。
上司が少しづつ頭を整理しながら、報告さらには相談を受けて、進めていけそうな流れである。
私が意識した、相手を聞く気にさせるポイントは、
・忙しさを伺うことで、自分との会話をワンアクション作る。
・「△△様の件でクレーム」と言う言葉で、相手の気を引く。
・「怒っているのか?」→「怒っている。」のように端的に答える。
である。
これ以降の、経緯や具体的な相談は、相手がすでに聞く姿勢になっているので、話す順番に意識しすぎなくても良いだろう。
ここで一つ、皆さんに確認をしたい。
このクレーム報告での「結論」とはなんであろう。
「報告がある」ことなのか。
「△△様の件でクレーム」なのか。
「怒っていて、対応に困っている」ことなのか。
「再発しないよう反省する」ことなのか。
これは、すべて「結論」であると、私は考える。
反対にすべて「結論」ではないとも、私は考える。
と、ものすごくもったいぶった言い方をした時に皆さんはこう思われたのではないだろうか。
『結論とは何かを知りたい!早く言ってくれ!』と・・・。
そう、つまり結論とは、「話を聞かされた側が”まず”知りたいこと」である。
話す側が決めることではなく、話される側が知りたいことが結論である。
そのため、話す側と言うのは話す全部が結論であり、話したいからすべて話し、物事が起きた順番に話した方が話しやすいので、相手が求める結論を最初に伝えることが難しいのである。
何が結論であるかの答えは話を聞く側が持っており、その人の心を読むことはできない以上、わからないのである。
そこで、話す側が大事なのが、「相手を聞く気にさせる」ことなのである。
実は、この記事についても、書き出しを意識して、皆さんがここまで読んでもらえるように書いた。
まず、このタイトルで「結論は最初に言うべきか」とした。
その理由は、質問を投げかけることで、投げかけられた側は「最初がいいに決まっている」「いや前提を先に話した方がいい」「ケースバイケースだろう」と、この記事に対して意識をもっていただくためである。
そして、記事の書き出しを「結論から言って!」とストーリー仕立てにし、この『結論が先かどうか』が話題になるシーンをイメージしていただき、私の答えまで読み進めていただくようにした。
ストーリーとは、結論を先に言わずとも、読者の興味を惹きつける話し方である。
例えば、『ももたろう』の出だしは「むかし、むかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。」であり、この一文に「ももたろうが鬼を退治し平和を取り戻した」ということは、一つのかけらもない。
起承転結を経て、読者の興味を得ていくのである。
最後に「結論から言うと」と、あえて「今から言うことは結論ですよ」と言うことで、皆さんのまず知りたいこととは違うかもしれないが、強制的に「結論はこれ」と位置付けた。
全員が全員でないかもしれないが、この結論としたことに興味を持っていただき、その後の話はこの結論の妥当性を判断しながら読んでいただけるのである。
所々で、皆さんに質問を投げかけるようにもしている。
記事なので、会話はできないのだが、質問をすることにより、あたかも会話するように読み進められるのである。
改めて、「結論は最初に言うべきか」に対しては、
「結論を言うことに捉われるのではなく、『相手を聞く気にさせて、相手と会話するように話すこと』を意識すること」
が大事であると考える。
皆さんの参考になれば幸いである。
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