言い返そう、少しでいい、言い返そう

「話す」ということは、人と人がコミュニケーションをとる上でとても大切なことだと痛感しております。

もちろん、相手を傷つける言葉を言うことや、人の秘密を話してしまうことなど、言葉にしないほうがよいこともあります。

『雄弁は銀、沈黙は金』『口は災いの元』ということわざもあるくらいです。

どちらも「黙るべき時を知ることは大切である」という意味で言われています。

しかし、友人や家族と過ごすときや、仕事をするときに、話さないことはありません。

けれども、話すかどうか迷ってしまうときはあると思います。

例えば、仕事をするにおいて会議に参加し何か物事を決定するときに、

「ペーペーの私の意見なんて通らないし、ちゃんとしたことなんて言えない。」

と言葉を発しない。

または、相手が自分にとって不利益なことを言ってきたときに、

「もしかしたら私に落ち度があるかもしれない。ここは黙って聞いておこう。」

と言われたことを飲み込む。

この2つのときに、自分の意見や気持ちを話さなければ、事を荒立てないで済むかもしません。

人によってはそれを「謙虚」として、良いふるまいと思っているかもしれません。

しかし私は、特にこの2つのときに、自分の意見や気持ちを言うことはとても大切だと痛感しています。

自分の意見や気持ちを言わないことを、私はそれを「謙虚」とは思わず、自分が「未成長」となってしまうのと、相手にとって自分が「不存在」となってしまうと捉えます。

「謙虚」とは、ちゃんとお互いが意見や気持ちを発したうえで、相手のことを思い、自分の意見や気持ちに折り合いをつけることと考えています。

決定事項が相手の意見となったり、自分の意見となったり、折衷案であったりとするかは問いません。

「未成長」と言ったのは次のようになってしまうと思っています。

自分の意見を言わずに相手の意見を飲んだときには、

  • 自分の意見の根拠を言葉にできない。
  • 相手の意見の根拠を汲み取れない。
  • 相手と自分の意見の折衷案を考えられない。
  • 愚痴や不満を生み、なりゆきを相手のせいにする。

などし、自分が成長できない状況を生んでしまいます。

「不存在」と言ったのは、意見を言われなければ、相手にとって自分はいてもいなくてもいいことになってしまいます。

もし皆さんが、相手に意見を求めたときに、「特にない」「なんでもいい」「あなたに任せる」と言われた場合、次にその人に相談しようと思うでしょうか。

まずはざっと書きましたが、今回特に深堀して書きたいのは、相手が自分にとって不利益なことを言ってきた際に、自分の意見や気持ちを言わないことです。

自分の意見や気持ちを言わないと『さらに自分にとって不利益』となってしまいます。

例えば、いやみを言われたときや、思い込みで叱られたときに、自分の気持ちや意見を言わない場合、相手は「私の言っていることは正しいし、この人は言いやすい。私より弱い存在だ。次も言おう」と思ってしまい、回数を重ねるごとにエスカレートしていってしまいます。

ただし、言い返さない気持ちもわかります。

「強い口調で言ってくるのが怖く、関わりたくない。」

「叱られるのは自分に原因があるはずだから相手の言っていることをまずは理解しよう。」

「上司・先輩の言うことは黙って聞こう。」

など、まずは黙って相手の話を聞いてしまいます。

相手が話しているときにさえぎらず、黙って聞くことも大事かとも思いますが、聞きながら、相手が話し終わったらどう言葉を返そうと考えているかどうかで、次が変わってきます。

相手がいやみや叱責をひとしきり話し終わって、あなたが黙っていたら、、、

相手はこう思っています。

(いやみ→)「ああ、言ってすっきり。言い返してこないから次も言ってやろう」

(叱責→)「私の言いたいことは伝わった。言い返してこないということはそういうことだろう。」

です。

はっきりとは思ってないかもしれませんが、感情としてはそうなっています。

もし、あなたが言い返したら

(いやみ→)「あ、言い過ぎた。罪悪感を感じた。つぎからは言うのはやめよう。」

(叱責→)「言い返してくるから、頭ごなしに言うのはやめよう。」

と、相手は思っています。

ただし、言い返し方にも注意点があります。

「言い返し」という言い方が違うのかもしれません。

ここで大事なのは言い負かすことではなく、「自分の気持ち」や「言動の根拠」をまずは伝えようということです。

(いやみ→)「今の言い方はひどいです。傷つきます。」

(叱責→)「私はこういうつもりで、このようにしました。」

もしもこの後に、相手が自分の言動を省みずに

(いやみ→)「言われるお前が悪い!」

(叱責→)「言い訳するな!」

など感情的になって言ってきたら、その時はもう、周りの人はあなたに軍配が上げています。

それ以上は感情と感情がぶつかる不毛な争いとなるので、言い返す必要はありません。

相手はバツが悪くなっているのと、次に言おうとしたときはこの時のことが印象づいているので、同じように言うのをためらうでしょう。

あなたのその職場などでの居心地はよくなるはずです。

ただし、気を付けてほしいことがあります。

それは、あくまで向上心を持って言い返す、ということです。

ごまかしたり、逃げようとしたりして、口八丁手八丁で言葉巧みに言い逃れることを良しとするわけではありません。

自分の気持ちを言えるようになるというのはとても気持ちのいいものです。

さらには自分の言った言葉に対して相手が応じることは、さらに幸福感を感じることができます。

一度、言える関係になったら、次も言いやすくなります。

その時、あなたが負の意図で言葉を発するようになったら、、、立場は逆転、、、軍配は相手に上がるでしょう。

あくまで、「嫌なことは嫌と思った」、「このように行動したのは、このように思ったからだ」と自分の気持ちや信念を言葉にすることをしていきましょう。

自分の気持ちや信念を相手に伝えるということは、勇気がいることです。

しかし、これは、自分に勇気を与えてくれることです。

相手に何か理不尽なことを言われたときは、少しでもいいです、言い返していきましょう。

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